店舗運営·2026年11月3日·8分で読めます

レジ締めの違算を減らす6つの手順|差額から原因を当てる

つり銭準備金を毎日同じ金種で抜き、金種表の合計を書いてから日計を見る。この順番を守ると、不足が9,000円か1,000円かという差額の形から、違算の原因まで当てられるようになります。

AIの支援を受けて執筆し、事実確認を行いました。

閉店後の和菓子屋のカウンター。開いた黒いレジのドロワーの横に、帯で留めたお札の束と、銀色と銅色の硬貨を種類ごとに積んだ木のトレーが並び、奥には明かりを落としたショーケースと藍色の暖簾が見える。

閉店後の和菓子屋で、レジ締めをはじめる。ショーケースの明かりを落とし、精算レシートで「現金売上 48,620円」を確かめてから、準備金を抜いた残りを数えはじめる。結果は47,620円。もう一度数えると、なぜか48,620円になる。この二回目の数字を、私はあまり信用しません。答えを先に見た人は、答えに合うように数えてしまうからです。

レジ締めで違算が出ると、たいていの店は「もっと丁寧に数えよう」と考えます。でも私の見立てでは、原因は数える腕前より順番にあることのほうが多いのです。答えを見るのが早い。つり銭準備金が日によって違う金種で入っていて、売上と見分けがつかない。途中で抜いたお金のメモがない。準備金を毎日同じ形で抜き、金種表の合計を書いてから日計を見る。この順番が揃うと、合わなかった日の差額が9,000円なのか1,000円なのか、その形から原因の見当がつくようになります。

以下は、店主が一度決めておくこと(締め時刻、準備金の形、数え直しの線)と、閉める人が毎晩やること(金種表、照合、過不足ノート)です。

レジ締めのやり方は「順番」で決まる

先に全体を書いておきます。印刷してレジ横に貼れる長さです。

  1. 締め時刻を決め、締めはじめたらそのドロワーでは打たない
  2. つり銭準備金を、決まった金種の組み合わせで先に抜く
  3. 残りを金種表で数え、合計を書く
  4. 書き終わってから、精算レシート(日計)を見る
  5. 入金と出金を足し引きして、売上と照合する
  6. 過不足は金額にかかわらず、その日のうちに原因の見当と一緒に書く

いちばん大事なのは3と4の順番です。数える前に期待値を見ない。これを守るだけで、締めの数字は「合わせた数字」から「数えた数字」に変わります。

手順1:締め時刻を決めて、そのドロワーでは打たない

「だいたい閉店後」は締め時刻ではありません。19時閉店の酒屋なら「19時にシャッターを半分下ろし、最後のお客さまの会計が済んだら締める」と言葉にして決めます。

締めはじめてから駆け込みのお客さまが来たときの扱いも、先に決めておきます。会計をしてから最初から数え直すのか、その売上を翌日分として別の封筒に分けるのか。どちらでも構いません。日によって変えないことが条件です。数えている途中でドロワーを開けてお釣りを出すと、そこまで数えた数字はもう使えません。閉店間際に来店が重なりやすい酒屋や花屋ほど、このルールが効きます。

手順2・3:準備金を先に抜き、残りを金種表で数える

つり銭準備金は、毎日同じ金額、同じ金種の組み合わせにします。毎朝ドロワーに入る形が決まっていれば、夜はその形を抜き取るだけで済み、残ったお金がそのまま「今日の結果」になります。下の表は、準備金を3万円にした場合の一例です。金額と内訳は、店の値付けとお客さまの払い方に合わせて決めてください。

金種準備金の例(計30,000円)数えるときのコツ
10,000円0枚準備金には入れない。束にして、最後にもう一度だけ数える
5,000円2枚(10,000円)1万円札の束に紛れていないか、束をめくって確かめる
2,000円0枚めったに来ないぶん見落とす。金種表には必ず欄を作っておく
1,000円10枚(10,000円)10枚ごとに向きを変えて重ねると、数え直しが速い
500円10枚(5,000円)硬貨でいちばん高額。10枚の山を作り、山の数で数える
100円35枚(3,500円)棒金(50枚)を崩した日は、崩したことをメモしておく
50円20枚(1,000円)5円玉と同じ穴あき。先に色で分けてから数える
10円40枚(400円)10枚の山を横に並べ、高さを揃えて見ると差がわかる
5円10枚(50円)50円玉と分けた後に数える
1円50枚(50円)端数の出る値付けの店ほど早く減る。足りない枚数は翌朝の両替メモへ

準備金の形が揃わない日もあります。100円玉が20枚しかない、という日です。それでも抜くのは必ず3万円ちょうど。足りない100円玉15枚分(1,500円)は千円札1枚と500円玉1枚で埋め、何で埋めたかをメモに書きます。そのメモが翌朝の両替の買い物リストになります。自分の財布から埋めるのはやめてください。記録のない両替が一回入るだけで、翌日の締めが合わなくなります。

準備金を抜いたら、残りを金種表に書き込みます。枚数と金額を金種ごとに書き、最後に合計。ここまでは、まだレジの数字を見ません。

手順4:精算レシートは、合計を書いてから見る

点検や精算で「本日の現金売上」を先に見てから数えると、人は無意識にその数字へ寄っていきます。千円足りなければ、どこかに千円札が挟まっていないか探し、見つからなければ「数え間違いかも」ともう一度数え、なぜか合う。ずるをしているわけではありません。答えを知っている人の数え方は、そうなりやすいのです。

だから順番を逆にします。金種表の合計欄にボールペンで数字を書き、消さない。それから精算レシートを出します。2人で閉める店なら、数える人とレシートを持って照合する人を分け、数える人には期待値を伝えません。答えを伏せて数えるので、「ブラインド」で数える、と呼ばれます。

精算しないと日計が見られないレジでも、考え方は同じです。数えて書き終わるまで精算ボタンを押さない、と決めれば済みます。POSで締めている店は、ブラインドで数える設定があるか一度確かめてください。VoViでは、シフト開始時のつり銭準備金、途中の入出金、ブラインドで数えた金額を記録でき、シフトごとの現金差額が日計レポートと一致する形で残ります。日々のレポートはLightとProのどちらのプランでも使えます。

手順5:入金と出金を足し引きして、売上と照合する

照合は、この一行で考えます。

残りの現金 = 現金売上 + 入金 − 出金

準備金を先に抜いていない場合は、左辺を「ドロワーの現金 − つり銭準備金」に読み替えます。

現金売上には、現金で受け取った分だけが入ります。カードや電子マネー、QRコード決済の売上は、決済端末側の日計と、レジに記録したそれぞれの売上を並べて別に確かめます。現金の照合に混ぜないことです。

入金は、営業中に両替してドロワーへ足したお金など。出金は、仕入れの立替え払い、配達の駐車代、両替のために持ち出したお金などです。どちらも、ドロワーの中に一枚ずつメモか領収書が入っている状態が正解です。仕入れの立替えで受け取った領収書は、出金の証拠であると同時に、消費税の処理にも関わる書類なので捨てないでください(仕入先の扱いはインボイス経過措置の見直しで書いています)。

手順6:違算はその日のうちに、原因の見当と一緒に書く

合わなかったら、金額の大小にかかわらず書きます。30円の不足も書きます。小さな違算を書かない店は、大きな違算の原因も探せません。レジ過不足のノートに残すのは、日付、締めた人、過不足の金額、考えられる原因、確認したこと。これだけです。

文房具店のカウンターで、店主がボールペンで小さな罫線入りのノートに書き込んでいる手元。横には閉じたベージュのレジのドロワーと、クリップで留めた伝票の束がある。
過不足ノートに残すのは、日付、締めた人、金額、考えられる原因、確認したことの5つ。30円の不足でも、その日のうちに書きます。

原因の見当は、差額の「形」からつけるのが早道です。

  • 不足がちょうど9,000円、4,000円、5,000円。受け取ったお札を実際より高い金種と思い込み、多くお釣りを渡した可能性を先に疑います。千円札を一万円札と思えば9,000円、五千円札と思えば4,000円、五千円札を一万円札と思えば5,000円の不足になります。受け取ったお札をすぐしまわず、お釣りを渡し終えるまでレジの上に置いておく習慣で、かなり防げます。
  • 不足が、ある会計1件の金額とぴったり同じ。カード決済を現金で打った可能性があります。決済端末の日計と、レジのカード売上を並べてください。
  • 不足が、返品や返金の金額と同じ。現金で返金したのに、レジで返品の処理をしていない。
  • 端数のない不足で、メモも領収書もない。仕入れや備品の立替えを、領収書なしで抜いた可能性です。酒屋なら配達用の氷、花屋ならリボンやセロハンの買い足しがよくある場面です。
  • ある日の過剰と翌日の不足が、同じ金額で対になる。両替です。銀行や近所の店との両替を、メモなしでドロワーから直接出し入れしています。近所の店から先に硬貨を受け取り(その日は過剰)、お札を翌日渡した(翌日は不足)、というように、両替の行きと帰りが日をまたいでいます。
  • 過剰。お釣りの渡し忘れか、現金を受け取ったのに打ち漏らした会計です。過剰も、不足と同じだけ原因を探す価値があります。

見当がつかなければ「不明」と書きます。不明が週に何回あるかを見れば、次に見直す場所がわかります。

違算は責める材料ではなく、手がかりとして扱う

違算が出るたびに締めた人が責められる店では、過不足ノートは続きません。書けば叱られるなら、人は書かなくなるか、自分の財布から埋めます。どちらも、原因の跡を消してしまいます。

そのかわり、店主が金額の線を一本決めます。たとえば「1,000円を超えたら、別の人ともう一度最初から数え直す」。線より小さければ記録だけして帰る。線を超えたら2人で数え直し、それでも合わなければ見当を書いて、翌朝に決済端末の日計や返品の控えを確認する。線の金額は、店で一日に扱う現金の量で決めてください。その場の気分で変えないことが肝心です。

過剰の扱いも同じです。多かった分を募金箱に入れたり、翌日の不足と相殺したりすると、二日分の情報がまとめて消えます。

締めの記録は、そのまま帳簿の土台になる

毎日のレジ締めで「現金売上」「入金」「出金」「過不足」の4つが同じ形で残っていれば、現金出納帳はそれを写すだけになります。国税庁の説明では、青色申告は正規の簿記が原則ですが、現金出納帳などの帳簿を備えた簡易な記帳でもよいとされ、帳簿や書類は原則7年間の保存とされています(書類によっては5年)。ただし、最高55万円の青色申告特別控除を受けるには、正規の簿記(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添えて期限内に申告することが条件です。そのうえで優良な電子帳簿の保存かe-Taxでの申告をすれば最高65万円、簡易な記帳の場合は最高10万円です(国税庁 No.2070 青色申告制度)。現金出納帳は、どちらの場合も土台になります。白色申告でも事業所得があれば記帳が必要で、日々の売上の合計をまとめて記載する簡易な方法でもよいとされています(国税庁 No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度)。

金種表と過不足ノートを日付順に綴じておけば、あとで数字を聞かれても説明がつきます。過不足を帳簿上どう処理するかは、顧問の税理士さんや記帳の相談先に一度確認しておくと安心です。

明日の閉店から変えること

  • 不足が9,000円・4,000円・5,000円なら、まずお札の金種の思い込みを疑う
  • つり銭準備金は毎日同じ金額・同じ金種で、最初に抜く
  • 金種表の合計をボールペンで書いてから、精算レシートを見る
  • 過不足は30円でも、その日に差額の形から原因の見当をつけて書く
  • 数え直しの線(例:1,000円)は、店主が先に決めておく

今夜の締めでは、精算レシートを最後に回すことだけ試してください。合わなかった日のほうが、店について多くを教えてくれます。